整形外科
膝の痛みで悩んでいる方へ
1.膝関節(ひざかんせつ)とは
膝関節(ひざかんせつ)は下肢の中央に位置して、股関節(こかんせつ)と足関節(そくかんせつ)をつないでいる重要な関節です。 大腿骨(=ふとももの骨)と脛骨(=すねの骨)と膝蓋骨(膝のお皿)でできています。膝関節の動きは曲げたり伸ばしたりですが、実際には複雑な動きをしています。 膝蓋骨はふとももの筋肉を脛骨に伝えて、立ったり座ったりする動作をしやすくするための重要な役割をしています。
<正常な膝のレントゲン写真>
2.膝に痛みが出る病気とは?
膝に痛みの出る病気はたくさんあります。その中でも中高年者に多いのは、変形性膝関節症と関節リウマチによるものです。いずれの病気でも膝の形がいびつになったり、関節の動きが悪くなったり、強い痛みを伴うようになります。
変形性関節症は外傷や加齢性変化に伴って関節の表面を覆う軟骨が傷んでくる病態です。
<末期状態の変形性膝関節症>
3.治療は?
まずはじめに、お薬(痛み止めや湿布)による治療・装具療法(足の裏にいれる足底板や膝を支持する装具)・ヒアルロン酸の関節内注射を行うことになります。 また、リハビリ治療としてはふとももの筋肉を鍛えるトレーニングを行って頂きます。プールでの水中歩行はふとももの筋肉を鍛えるのに効果的です。 それと同時に、肥満傾向にある方には体重を減らすダイエット療法もおすすめします。 このような治療を行っても痛みが強く日常生活に支障をきたす方には手術治療をお考えいただくことになります。
4.手術治療はどんなものがあるのか?
当院では患者様の膝の状態や年齢・活動性を考慮して手術方法を選択して治療しています。
- ・人工膝関節全置換術
- 一般的に最も行われている人工膝関節手術です。軟骨の摩耗などによって悪くなった大腿骨・脛骨・膝蓋骨の表面を金属とプラスチックで置き換えます。
変形性膝関節症や関節リウマチの方に適応になります。<人工膝関節全置換術後の膝>
- 適応
- 関節の痛みが強く日常生活動作に大きな支障がある
保存治療(薬物・注射・運動・減量)でも改善が見込めない - 目的
- 関節の痛みの原因を取り除き、出来る限りもとの日常生活にもどっていただくこと
- 適応年齢
- 上記した保存治療行っても痛みで日常生活が障害されている60歳以上の方です。
- 術後・リハビリ
- 手術後、翌日には車椅子に乗って起き上がれます。関節内血腫の予防のドレーンを抜去したあとは、起立・歩行訓練が開始になります。 当院はリハビリ専門病棟(回復期病棟)も併設されておりますので、そちらで日常生活動作の訓練まで行って頂き、自信がついた段階で退院になります。入院期間は約3~4週間とお考えください。
- 患者様の年齢や筋力
- 限界
- 膝の曲がり具合は、手術前の曲がり具合が影響します。インプラントは正座ができる設計になっていますが、実際にはそこまでは曲がりません。術後、しっかりリハビリをやって頂くことが曲がり具合を良くするコツです。
人工関節の耐久年数は、器械の改良によりどんどん伸びていますが15年~20年くらいです。長い年月の間に人工関節がゆるんだり、ばい菌が人工関節についたりした時には再手術・再置換術(新しいインプラントへの入れ替え)が必要になります。
- ・関節鏡による手術
- ・骨切り手術
- 変形性関節症の患者様で、内側の関節だけに病変が限られている場合に適応になります。 比較的若く、活動性が高い方に適応がありますが、リハビリ期間が2カ月くらいかかります。
- ・人工単顆型関節関節置換術
- 変形性関節症の患者様で、関節の内側か外側だけに病変が限られている場合に適応になります。当院では70歳以上の方に行っています。手術の創が小さく術後のリハビリが早くすすみ、術後2週間で退院可能です。
膝の痛みでお困りの方は、どのような痛みでどの程度の病態なのか診断することをお勧めします。
整形外科医師にご相談ください。